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灰外達夫 氏(はいそとたつお)

木工芸家[日本]

2015年 3月14日 死去脳内出血享年75歳

1941(昭和16)年1月3日、石川県珠洲市に生まれる。56年に中学を卒業し正院町にて建具の修業を始める。建具の製作に携わる中で、指物、挽曲等の木工芸技法を身につける。その後、77年、重要無形文化財「木工芸」の各個認定者である氷見晃堂の遺作展に感銘を受け、木工芸の創作を始める。81年、第28回日本伝統工芸展に「欅十六角喰籠」が初入選。1989(平成元)年には日本伝統工芸展正会員となり、同年、金沢大和画廊アートサロンにて個展を開催。92年、第39回日本伝統工芸展で「神代杉造木象嵌短冊箱」が奨励賞を受賞。97年には灰外達夫木工芸展をさいか屋(横須賀)で開催。99年には日本橋三越にて個展を開催。石川県立美術館で開催された石川県作家選抜美術展へ出品。2000年、第9回日本伝統工芸木竹展で「神代杉挽曲造木象嵌箱」が文化庁長官賞を受賞。03年の第50回日本伝統工芸展で「神代楡挽曲造食籠」がNHK会長賞を受賞(文化庁買い上げ)。07年には第54回日本伝統工芸展で「神代杉造食籠」が保持者賞を受賞。翌年の08年には紫綬褒章を受章。12年、重要無形文化財「木工芸」の各個保持者に認定される。同年、菊池寛実記念智美術館において「茶の湯の現代-用と形-」大賞を受賞。翌年の13年には伊勢神宮式年遷宮献納。14年旭日小綬章を受章。15年には和光ホールにて開催された「北陸発工芸未来派」に出品。挽曲とは神社の鳥居等に用いられた技法で、木材の薄板に鋸で挽き目を入れ、部分的に曲げて造形する技法である。同技法は挽き目の深さや角度を調整する技術が肝要といえる。灰外は特殊な鋸を用いて挽き目を入れ、精緻な多角形等を正確に表現する。神代杉、神代楡などを素材に用い、柾目の木目を生かした作風といえる。「デザインありきではなく、まず技術ありきであり、技術がデザインを作る」という言葉を残している。制作は木工芸だけに留まらず、80年には独学で陶芸をはじめ、日本最大の径1,82mの大皿焼き上げに成功し(当時ギネス世界記録)、82年には灰外達夫大皿展を高島屋で開催。1983年には日本最大の陶板焼き上げに成功し、95年には日本陶磁協会賞を受賞している。自身の製作だけでなく後進の育成にも尽力しており、98年から09年まで石川県立輪島漆芸研究所の講師を務める。また、石川伝統工芸展、日本伝統工芸木竹展、日本伝統工芸展の監査委員なども歴任した。(参照元・日本美術年鑑 平成28年版)

灰外達夫さんが亡くなってから、9年と6日が経ちました。(3293日)

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